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権利義務に関する書類

権利義務に関する書類

 権利義務に関する書類の作成は、行政書士に限らず多くの弁護士が対応している業務です。
 費用の問題はありますが、ご自身の利益を最大化することが目的の場合、代理人として交渉や調停・訴訟等まで対応できる弁護士に依頼した方が良い場合も多くあります。
 ただし、弁護士は一般的に、代理人として依頼者の権利や利益を実現することを職務としており、たとえ感情的な対立等がなくても、経済的な利益が対立せざるを得ない当事者双方からの相談に乗ったり依頼を受けたりすることは困難です。(例えば、夫婦2人共からの離婚相談に乗ってもらうなど。)
 その点、法律上、代理人(依頼者本人の利益の代弁者)として交渉することのできない行政書士に相談・依頼することで、不要な誤解や争いを避けられることもあるかもしれません。

 

 なお、当事務所に相談・依頼を頂いた後に、当事者間の対立が明らかとなった場合等は、弁護士に業務を引き継いでもらうなどの対応が必要になります。

 

契約書、覚書等
 一般的な契約は、当事者の意思表示の合致によって成立するため、契約書等の書面は必ずしも必要とされていません。

 しかし、重要な約束をする場合には、その詳細を書面化し、双方の認識が一致していることを確認することや、約束をした事実を残しておくことはとても有益です。
 さらにビジネスにおいては、契約(取引等の内容)に潜むリスクを事前に特定し、そのリスク負担者を明確にすることも契約書作成における重要なポイントです。そのような完成度(実用性)の高い契約書・覚書等を作成する必要がある場合には、専門家に相談することが適切です。

 

 また、消費者として契約をする多くの場合には、相手が用意した契約書や約款に従うか、契約を諦めるかのどちらかしか選択できないことが多くあります。
 このような場合にも、契約書の完成度を見ることによって、相手が信頼できるか否かを推し量れることがあります。
 中小事業者から提示される契約書等では、消費者契約法等に反し無効と思われる程、事業者に都合のよい契約条項となっていることもあります。そのようなあやしい契約条項を定める事業者との契約はなるべく避けるのが賢明です。
 ただし、ある程度自分に有利な契約書を提示しようとするのは当然とも言えるため、一般の方が、どの程度「あやしい」のかを判断することは難しい面もあります。
 良く知らない業者と高額の契約をする場合などは、法律に詳しい第三者の意見も参考にして契約相手を選ぶことをご検討ください。

 

示談書
 示談書とは、事件・事故等の当事者が、損害賠償責任の有無や支払金額・方法等の条件を合意して争いを止める和解の契約書です。

 「損害賠償」という物々しい内容を扱う契約については、加害者、被害者どちらの立場にあっても不安を感じるものです。
 また、当事者同士で話し合う場合はもちろんのこと、保険会社等が関与する場合であっても、損害額の見積りが妥当であるか等については、第三者の意見を求めることが適切です。
(慰謝料、損害額、過失相殺等の法律上の考え方や計算方法については、一般の方の感覚に合わないと言われることがよくあります。また、ご自身が加入している保険から保険金が出る場合などは、自分側の保険会社も保険契約者のためのアドバイスをしてくれるとは限らない点にご留意ください。)

 

<交通事故の示談>
 行政書士は、交通事故に関連して、自賠責保険・任意保険の保険金請求、後遺障害等級認定申請・異議申立等の書類を作成できます。

 業務中、通勤中の交通事故で、労働災害に該当する場合には、労災保険給付の請求等が必要になります。
 また、治療によって完全に回復しなかった場合には、国民年金・厚生年金、労災保険の障害年金、障害(補償)給付の請求等が必要になります。
 これらの制度については勤務先から説明を受けられることも多いと思いますが、原則的には、請求するのは本人であり、勤務先等が作成・提出するものではありません。これら労働・社会保険関係の書類は社会保険労務士として作成できます。

 

 交通事故被害者の手続きの全体像等についてもご相談ください。
 ただし、相手方との示談交渉の依頼や訴訟手続きまで考えている場合には、はじめから弁護士に相談した方がよいでしょう。
 家族が加入している自動車保険、火災保険、賠償責任保険等に弁護士費用特約等が付帯している場合には、弁護士・行政書士の相談料や報酬が保険で賄える場合があります。

 

遺産分割協議書

 相続とは、人の死亡によって、その人(被相続人)の財産に属した権利義務が、一定の者(相続人等)に承継されることです。

 遺産(相続財産)は、一部の財産を除き、特別な意思表示がなければ、法定相続人の共有財産になった後、当事者の話し合い(遺産分割協議)、判決等に従って遺産分割され、各相続人等が単独で自由に取り扱えるようになります。
 各相続人が有することになる相続分(共有している相続財産全体に対する持分)は法律で定められていますが、遺産分割協議によりそれと全く異なる割合で分割することも可能ですし、一定の期間内に家庭裁判所で手続きを行えば、相続放棄することも可能です。

 

 相続制度についての各相続人の認識のズレ(間違った知識)が、感情的なすれ違いや対立の原因になることは珍しくありません。
 当事務所では、法定相続人の確認をはじめ、遺産分割の対象となる相続財産の範囲、公平な分割のために設けられた特別受益や寄与分という制度の考え方など、遺産分割に必要な法律知識について、家族会議等への出張説明も可能ですので、分割方法の協議を始める前に、ぜひ一度ご相談ください。

 

 相続において何を普通だと感じるのかは、世代や育った環境だけで決まるものではなく個人によって実に様々です。また、遺産分割を終えてからも家族・親族としての関係は当然に続いていくものであるため、法的に正しい・確実な対応を取ることと同じくらい、(相続人以外の人達を含めた)関係者の納得感を大切にすべきです。
 中立的な立場の第三者に話し合いをコーディネートさせることによって関係者の納得感を高める方法としても専門家の活用をご検討ください。
 なお、相続税が課税されるために遺産分割を急ぐ必要がある場合等を除いて、一般的に、相続手続きは相続人自身で少しずつ行うことが可能ですが、死亡に伴う各種の届出・名義変更・清算等の事務手続きをご依頼頂くことも可能です。

 

遺言書
 特別な意思表示をしなければ、上記のとおり、相続財産は法定の手続きで法定の相続人に相続されます。

 これと異なる相続を希望する場合に必要になるのが遺言書です。(相続に直接関係しない遺言事項も一部あります。)
 従って、「自分は遺言書を作った方がいいのか?」を判断するにも、相続の仕組みに対する正しい理解が必要になってしまうのです。

 

 遺言は、その意思表示をした本人が死亡した(本人に真意を確認できなくなった)時に効力を生ずるため、その方法が厳格に定められています。
 ご自身で作成した遺言書を本人や子供が持参され、確認してみると、法的に無効であることも多くあります。また、本人の本当の希望からズレた効果が発生しかねないことが判明して慌てられることもあります。
 また、法的に有効な遺言書が存在しても、それを発見し、実現してくれる人がいなければならないなど、法的効果を実現させる実際の手続きを見据えて配慮すべき点も多くあります。
 エンディングノートや終活という言葉が普及し、自分の死後も含めて人生を考える文化が広がりつつありますが、本当に意義のある遺言書を作成するためには、また、自分に遺言書は必要ないと正しく判断するためには、専門家に相談することが適切です。

 

離婚協議書
 離婚協議書は、離婚に際しての約束事(親権者、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料など)を記載するものです。

 離婚の際に必ず必要な書類ではありませんが、養育費や面会交流の約束が守られないことが多い現状を考えると、書面化や強制執行認諾約款付公正証書、調停調書の作成も検討すべきです。
 特に、養育費や面会交流は、離婚する親ではなく子供の権利として、慎重な取り扱いが求められます。
 なお、離婚に向けた話し合いは大変なストレスを伴うことが多いため、金銭的な余裕があれば、離婚相手との交渉を含めて弁護士に依頼した方が有益な場合も多いと思います。

 

公正証書
 公正証書は、元裁判官・検察官等の法律家の中から法務大臣に任命された公証人が、当事者の依頼に応じて、民事上の契約等の法律行為について作成する公文書です。

 任意後見契約書や事業用定期借地権契約書のように、公正証書で作成することが法律上の要件とされている文書は限られています。その他の契約等は必ずしも公正証書にする必要はありませんが、トラブルの発生を防止したり、債務不履行時の強制執行手続きを簡素化したりするために用いられます。

 

 公証人(公正証書作成等)の手数料は法令で定められ、相談は無料とされています。
 ただし、公証人には高い中立性や公平性が求められており、複数いる当事者のうちの1人に有利な条項となるようにアドバイスを求めたり、契約書等の文案を一から作成してもったりすることが困難となる場合も考えられます。(この点は公証人によって差が大きいようです。)

 

内容証明郵便(クーリングオフの通知書等)
 内容証明とは、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰あてに差し出したかを、郵便局が証明してくれる制度です。

 内容証明郵便にしないことでその文面の法律上の効果が損なわれることはあまり想定されませんが、内容証明郵便を用いることで、確実な証拠を残していることを相手に伝える効果があります。
 代理人として専門家の名前を示すことで心理的なプレッシャーを与えられることもありますが、一般的には、内容証明郵便を出すだけで問題が解決することは少ないと考えられます。そのため、トラブルの解決に至るためには、自分の主張を法律的に整理したり、相手が通知を無視した場合の対応を検討したりすることの方が重要になると思われます。
 そして、相手が通知を無視する可能性が高いようであれば、はじめから弁護士に依頼した方がよいでしょう。

 

 なお、クーリングオフのような消費者問題については、自治体の消費生活センター、消費生活相談窓口等の無料相談を活用する方法もあります。

 

定款
 定款は、法人の組織・運営・管理に関する根本規則を定めた規程です。

 発起人、法人設立者等が作成し、公証人等の認証を受けてその効力を生じます。(認証を必要としない法人もあります。)
その内容は、
・絶対的記載事項(定款に必ず記載しなければならない事項)
・相対的記載事項(定款に記載しなければ効力を生じ得ない事項)
・任意的記載事項(定款外でも定められる事項)
に分類されますが、ひな型を無料で入手することも可能なため、法人設立のために最低限規定すべき事項を理解するのはそれ程難しいことではありません。
 ただし、会社法等の根拠法令の知識が十分でない人が安易に作成すると、結果的に、機動的な意思決定を阻害されたり、株式の散逸を防げなかったりするリスクを知らないうちに抱えてしまう可能性があるため、事業内容や法人の性質等の個別事情を専門家に相談した上で作成することが適切です。

 

 会社等の定款は、変更する際に再び認証を受ける必要までは生じませんが、株主総会での特別決議や、その登記が必要になることがあります。また、そもそも組織に合わない定款(根本規則)に沿った組織運営には少なからず歪みが生じるため、法人を設立する段階から、十分に検討したものを作成することが望ましいと言えます。

 

社内規程
 社内規程は、会社が組織的に運営されるために必要なルールを明文化した書類です。

取締役会規程、組織規程、業務分掌規程、職務権限規程、個人情報取扱規程のように組織や業務について定めたもののほか、就業規則、役員規程、給与規程のように会社と従業員等との権利義務について定めたものも存在します。

 

<就業規則>
 日本では、雇用契約を締結する際、個別に労働条件を交渉して契約書を作成する文化がありません。

 契約の内容が分からないとあまりに問題が大きいため、会社が定めた(労働者と合意をしたわけではない)就業規則が労働契約の内容になるのだという、かなり無理のある理屈で問題を解決する形になっています。
 一般的に、就業規則の作成は社会保険労務士の仕事だと認識されています。しかし、社会保険労務士は、労働基準法(労働契約の最低基準)の知識はあっても、契約の成立や契約違反時の処理方法といった、その前提となる民法・債権法について受験勉強をしていません。そのため、契約の一方の当事者が作った規程が他方の権利義務の内容を決めてしまう異常さに鈍感なところがあるように思います。まして、経営者や労働者においては、さらに認識がないと思われます。
 就業規則に限られませんが、当事者双方が合意するわけではない文書が、行政書士法上の独占業務(無資格者に作成させると問題が起きやすいもの)に挙げられている事実には注意して頂きたいと思います。


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