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リスクマネジメント

リスクマネジメント

 リスクマネジメントは、「リスクの認識→リスクの特定→リスクの評価→対策の検討」というプロセスを通じて、事業リスクを適切に管理出来るように支援するものです。
 中小企業においては、主に経営者の方に自社のリスク(隠れた問題点)を、その重要度(発生確率と発生した場合の影響度を考慮したもの)を含めて認識して頂くことが重要です。

 

 それまで漠然としか認識していなかったリスクについて、的確に対策に取り組めるようになる効果を期待していますが、「すぐに対策は取れないけれど問題点としては認識している」状態になり、それに関する情報にアンテナを張ってもらう効果もとても重要です。
 また、会社の問題を自ら認識されて相談を頂いた際に、「本当にそれが対策すべき問題なのか(別の本質的な問題が背後に隠れていないか)?」を確認する手段として用いることもあります。

 

対象とするリスク

 「リスク」という言葉には様々な定義や考え方がありますが、ここで対象とするリスクは、事業にマイナスの影響を与える可能性のある様々な事象です。
 当事務所の得意分野は、社内の管理体制(人事・労務管理、経理、契約等)に関するリスクになりますが、事業の中心となる業務フロー(仕入・製造・保管・運搬・販売等)や、新商品・新規事業のマーケティング(収益・事業拡大の機会損失リスク)等に対象範囲を広げることも可能です。また、社内の人材が手薄なために十分なリスク管理ができていない特定分野のみを対象にすることも可能です。

 

 なお、社内の管理体制(人事・労務管理、経理、契約管理等)を対象とする場合、当事務所が中心となってリスクの評価まで行うことになりますが、事業の中心業務(仕入・製造・保管・運搬・販売等)等を対象とする場合には、リスクの認識の段階から各業務分野の責任者の方等に大きく関与して頂く必要が生じます。
 また、検討するリスク項目や詳細化の度合い、作業の進め方等については、依頼主のご希望や予算に合わせて設定します。

 

リスクマネジメントのフロー

  1. リスクの認識
  2.  最終的に対策を取れるか否かにかかわらず、あらゆるリスクを列挙します。
     対象とするリスク分野に応じて、アンケート・ワークショップ等により依頼者(経営者、役職者、担当者、全社員等)にも参加して頂く場合があります。
     特に、事業の中心業務(仕入、製造、保管、運搬、販売等)を対象とする場合には、各分野の責任者の方等に大きく関与して頂く必要が生じることになります。

    表:リスク項目の一例

    リスク項目 具体的な影響
    法制度 関係業法等の変更 規制強化

    ・許可更新の不能
    ・新設備の導入
    ・原材料等の代替
    ・有資格者の獲得・育成
    ・管理コスト増加

    規制緩和

    ・価格競争圧力の増加
    ・受注機会の減少

    ・社会保険
    ・消費者保護
    ・労働者保護
    ・取引・表示規制 等

    ・税制度
    ・経済情勢
    ・社会
    ・自然 等

    ※事業の中心業務を対象とする場合には、業務フローに沿って整理を行います。

     

  3. リスクの特定
  4.  認識されたリスクについて、リスク発生時の影響度とその発生確率をごく簡易的に想定します。
     その結果やリスク対策の存否等によるスクリーニングを行い、重要度の低いリスクを除外し、評価を行うべきリスクを特定します。

     

  5. リスクの評価
    1. 期待損失
    2.  特定されたリスクについて、リスクによる損失の期待値(期待損失)を評価します。

       

      「期待損失」

      = 「リスク発生時の損失(実損害額、対応に要する時間費用、逸失利益等)」
       × 「リスクの発生確率」 の合計(積分)

      (例)

       1万円の損失になる確率が0.1%、10万円の損失になる確率が0.01%(その他の損失は想定されない)というリスクの期待損失は200円。

       

       なお、損失と発生確率が一意に評価できないリスクについても、幅を持たせて区分する等の工夫により、できる限り定量的な評価を行います。また、定量化が困難な場合には、対策を講じるべきリスク項目の優先順位を判断できるレベルまで明確化を図ります。

       

    3. リスク構造
    4.  複数のリスクを分析すると、あるリスクが別のリスクの要因になることや、複数のリスクに共通する要因が存在すること等が明らかになります。
       このようなリスクの構造(リスクの相互関係)について整理し、対策を取るべきリスクを判断する材料とします。

       

       なお、リスク構造を定量的に評価(モデル化)し、期待損失に反映することも考えられますが、その精度やコスト、次のステップである対策の検討に与える効果の観点から、原則として定性的な評価にとどめます。

     

  6. 対策の検討
  7.  リスク評価の結果、その重要度が高いと評価されたリスクについて、適切な対策を検討します。
     リスク対策は「低減」「移転」「回避」「保有」の4つの方法に分類され、各対策の意味及びリスク特性との関係は以下のとおりです。

    表:4つのリスク対策

    低減

    リスクの発生確率及び発生時の損失のいずれか又は双方を小さくすることにより、期待損失を低減させるもの。
     適用可能なリスク範囲が広く、リスク対策の基本となる戦略です。

    移転

    リスク発生時の損失を他者に負担させるもの。
     発生確率が小さく発生時の損失が大きいリスクについて、保険契約により保険会社に負担させるのが典型例です。

    回避

    リスクそのものを避けるもの。
     発生確率も発生時の損失も大きいリスクなど、他の対策が実現困難な場合には、そのリスクを内包する事業分野からの撤退が適切な戦略となり得ます。

    保有

    リスクをそのまま受け入れるもの。
     会社の体力に比べて発生時の損失が小さい場合には、リスク改変にコストを掛けないことが有効な戦略となります。

    図:リスク特性とそれに適したリスク対策との関係

    図:リスク特性とそれに適したリスク対策との関係

     

     重要度の高いリスクについて、現実に取り得る対策を具体的に検討し、その対策に要するコストとそれによって減少する期待損失とを比較評価します。

対策の実行

 上記のとおり実施したリスク評価の結果及びリスク対策の案を踏まえて、具体的な施策やその実行時期を慎重に判断していくことになります。

 

 その際、当事務所が引き受けられる内容の個別の手続き・作業については、その具体的な作業等についても全面的に支援します。

 

社会保険制度、労働者保護・消費者保護制度、各種業法規制等の各種ルールへの適応
 社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険等)に関する加入義務の判定方法、手続き方法、任意加入制度等について、コンプライアンス、福利厚生の充実、会社の負担能力等の各側面から、会社の状況や方針に沿った対策を支援します。

 

各種取引における契約関係の明確化・見直し
 事業リスクを洗い出すと、他社が原因となるリスクを数多く保有してしまっている現状に気付くことがあります。

(例えば、仕入商品が原因での最終製品の不具合発生や、他社の運送遅延による納品遅れの場合、本来は委託先に損害賠償請求すべきであっても、委託先には委託料を大きく超えるような損害を補償する資力がなく、結果的に自社でリスクを保有しているなど。)
 問題発生時の対応・責任分担等について、契約書等による明確化を図ることはもちろんのこと、委託先の保険付保やそれに伴う委託料の増額等の現実的な対策の検討・交渉等を含めて支援します。

 

保険等(取扱業務に応じた損害保険、従業員の福利厚生)の検討
 運送業、倉庫業、建設業等の事業分野ごとの保険はもちろん、事業活動に伴うリスクを補償する保険は数多く存在します。

 また、中小企業では、会社の強みが組織ではなく個人(経営者や従業員)に帰属していることが多いため、会社に費用負担が発生する労災事故等に限らず、個人的な怪我や病気が事業上のリスクになることがあります。
 保険商品の販売という視点からの保険設計ではなく、保険(リスク移転)以外のリスク対策まで見据えての保険設計により、より納得感の高い保険選択が可能になります。


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