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遺言・相続

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遺言・相続

相続は起きるもの
 相続とは、人の死亡によって、その人(被相続人)の財産に属した権利や義務が、一定の者(相続人等)に引き継がれることです。

 

 法律上、亡くなった人は権利や義務の帰属主体になれないため、人が亡くなった瞬間に、その人の持っていた権利も義務も宙に浮いてしまいます。この権利や義務を誰かに引き継がせることが、法律の理屈としては不可欠になります。
 また、昔から遺産相続はもめ事になることが多いため、誰に引き継がせるか(相続人)は法律に定められています。
 そのため、名義変更等の手続きをしなくても、理論上は、遺産(相続財産)は自動的に相続人のものになるのです。

 

 つまり、相続は、「相続人がやること」ではなく、「被相続人と相続人との間で起きること」と表現した方が良いものなのです。

 

 もちろん、「自動的に相続人のものになる」といっても、相続人が一人でない限り、具体的に誰が何を引き継ぐのか、遺産分け(遺産分割)をしなければ使うに使えないことも多くあります。
 法律の理屈に興味がある人はほとんどいないので、結局のところ一番の関心事は遺産分けの部分になるのですが、それは、放っておくと勝手に進む相続というものの中で、相続人が主体的に行う一部分の手続きに過ぎないことは知っておいた方が良いでしょう。

 

 

遺言書は、法定されたものとは異なる相続を指定するもの
 特別な意思表示をしなければ、相続財産は法定の手続きで法定の相続人に相続されます。

 これと異なる相続を希望する場合に必要になるのが遺言書です。

 

 「相続でもめないように、遺言書を作っておいた方が良い。」とよく言われます。
 また、子供がいない人、再婚した人、という様な、遺言が必要になる条件が挙げられることもあります。
 確かに、遺言書があると、そこに書かれた希望どおりに相続発生後の権利関係を整理することができるし、相続人やその他の親族・関係者の納得も得られることが多いです。
 法定の相続がしっくりこないことの多い条件・パターンのようなものも確かにあります。

 

 しかし、あえて強い表現をすれば、遺言書は、法律で定められたとおりに相続されるのでは不都合がある場合に、それを回避するために作成するもの。とも言えるでしょう。

 

 現在の日本では、遺言書を残さずに亡くなる方の方が圧倒的に多く、遺言によって本人(被相続人)の希望どおりに相続させることが一般的とはとても言えません。
 仲良く理性的に話し合うことが出来るのならば、法律で決められた相続人が、相続が発生した後の具体的な事情を踏まえて、遺産分けの仕方を決めた方が良い結果になる可能性も十分あります。

 

 もちろん、名義変更手続きに掛かる相続人の手間なども「不都合」の一つと考えれば、遺言書を作ることにそれ程身構える必要がないこともあります。
 しかし、場合によっては、相続人が「法定相続分より自分の相続分を減らすために、わざわざ遺言書を作られた。」といった印象を受けてしまう可能性も考えられるのです。
 被相続人の思いが上手く伝わらなければ、遺言書を作ったことが原因となって、相続でもめたり、その後の人間関係が悪化したりすることもあり得ることに留意が必要です。

 

 

相続は思い通りに行かないもの
 法定されたものとは異なる、本人の希望する相続を実現するためには、遺言は欠かせない存在です。

 しかし、「終活」のページに記載したとおり、いつ死ぬかを事前に把握できない以上、遺産の全体像も、誰が相続人になるかも、各相続人の生活状況も、全て予想に過ぎない状況で、相続の仕方を遺言書にまとめることになるのです。

 

 予想と違ってきたなと感じたら遺言書を作り直すとか、遺産の一部については相続人の話し合いで決めてもらう(遺言を作った後に生じた事情の変化を反映して相続人に微調整してもらう余地を残す)とか、そういった工夫・仕組みを検討することも大切です。

 

 当事務所では、亡くなる瞬間に抱くものが真の希望だとすれば、それを事前に形にすることには必然的な限界があり、完璧な遺言書を作ることは出来ないという前提のもとに、如何にそれに近づけるかに苦心しています。
 すぐに死ぬ予定があるわけではないのに、今持っている全ての財産を、現時点での法定相続人にどのように分け与えたいかを考えたような遺言書を作って満足されてしまうことのないように、気を付けています。

 

 また、一般的に見落とされがちなポイントを中心に記載していますが、決して遺言書の作成に反対する意図はありません。むしろ、多くの方に、自分の死後のことをなるべく具体的に想像してみて欲しいと考えています。

 


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